富士山はまだ若い活火山です。噴火の度に森は消滅しますが直ぐに新しい森へ再生が始まります。標高1700m以上の亜高山帯ではカラマツ、ミヤマヤナギ、ミヤマハンノキ、ダケカンバなどが進出して陽樹林を形成し、やがてシラビソやコメツガなどの陰樹林へと遷移してゆきます。標高800mから1700mあたりの夏緑樹林帯では溶岩流にはヒノキ、砂礫地にはカラマツなどの先駆種の森が形成され、樹木が世代を重ねてゆくとブナやミズナラなどの落葉広葉樹が中心の混交林へと遷移してゆきます。 富士山では火山荒原、先駆種の森、遷移途上の森、遷移が進んで安定した森など、植物相が異なる森や草原がモザイクのように存在し、植物の垂直分布という要素も加わり、生物多様性に富んだ生態系が形成されています。
積極保護が求められる植物群落保護林の実情 (富士山東臼塚低山帯植物群落保護林の天然ヒノキの樹皮被害 2019年5月)